3月8日 自宅〜アンカラ


4:30・起床。
昨日は旅行の最終準備があり、3時間しか寝ていないのでかなり眠い。
その後、睡魔に邪魔されながらノロノロ支度をする。


5:29・電車で自宅近くの駅から中部国際空港(セントレア)まで出発。
道中、荷物を抱えながら寝る。
早朝ということもあり、外気は刺すようにつめたく、電車のドアが開くたびに寒波がやってきて眠りを妨げる。かなりうっとうしい。小牧に空港があったころは早朝タクシーで寒い思いもせずにすんだのに。


セントレア 6:30・セントレア着。
実はセントレアに来るのは生まれて初めて。完成したころ、名古屋近郊では「一度見に行こう」とテーマパークのようになった空港だが、僕は今まで来る機会がなかったのだ。

旅行記には登場しないが、セントレアと疎遠な僕とは対照的なのが僕の父で、仕事柄何回も訪れており、空港内のいろんな場所を回ったことがある。

とりあえず旅行会社のカウンターでチケットやスーツケース輸送の手配をする。うれしいことに最終目的地のアンカラまで運んでくれるそうだ。


7:25・カフェ「ゆとりの空間」で朝食。
厚切りトースト(はちみつバター付)とアップルジュース。はちみつバターは素朴な甘さでふっくらしたトーストとよく合う。
母は中華粥。うまいうまいと食べているが、傍からみるとあまりおいしそうではない。受験前にインフルエンザにかかり、毎食おかゆだったのがトラウマなのかもしれない。


7:50ごろ・食べ終わる。暇なので空港内見学。
ライト兄弟が作った飛行機の模型や、デッキにある太陽光発電機、なぞの旅人フーの巨大な人形、トヨタのF1車など、バラエティーに富んだ展示物だが、おしなべておもしろくない。
曇天なので、太陽光発電もあまり元気がなさそうだ。


8:20・成田へ向けて搭乗手続き。その後、乗り込む。
B747-400という機種らしいが、渡り廊下から見てあまり大きくない。搭乗口で毎日・朝日新聞をもらう。

ここで最初のハプニング発生。僕たちは71列目の座席だったのに、62、63,64・・・と列数を数えていくと66列目までしかない。そのうしろはトイレと昇降口だし、どう考えてもおかしいと思ったら2階席だった。
結構飛行機にも乗ったけど2階席ははじめてだったので、どんな感じかなあと期待していたら普通のエコノミーでちょっと残念。コンテナで荷物置き場へどうぞ、と言われなかっただけよかったけど。


8:50・離陸。
着席してからすぐ、成田に着陸してもなお夢の中だったので中部〜成田間のフライトは一切記憶に無い。


10:00ごろ・成田着。
自分の時計を持ってこなかったのでキーホルダー式の時計(1500円)を買ってベルト留めにつけておく。
すぐ見られる位置に時計がないと、時刻を書き留めるときいちいち母に聞いたり時計を探したりしなければならないので面倒なのだ。

また、トルコの通貨は日本では入手できないので所持金の一部をユーロに替えておく。(※トルコはEU加盟国ではないが、観光地ならユーロはかなり使用できる。)


11:30・昼食。
「BLUE SKY」というお店でネギトロ丼とみそしる。
ネギトロ丼といっても、ネギとトロが混合された焼く前のハンバーグのようなペーストが酢の入っていないご飯の上にのっている安物度丸出しの一品だが、こういう三流ネギトロどんぶりを見ると、友達と行った鎌倉旅行、民家の合間をガタゴト走る江ノ電の中で江ノ島を見ながら食べた駅弁のチープなネギトロ丼の古き良き日々を思い出してしまう。
しかしこれは別の物語、またの機会に話すとしよう。

母は「むこうでは食べられないから」といってチャーシュー麺を食べたのだけど、それはネギトロ丼だって同じ。
食後、次の搭乗までまだ2時間近くあるのでレストランに居座ってガイドブックを読む。12時ごろになると人がたくさん入ってきて、食事の終わった僕らはいづらくなったのでそのへんの売店をぶらつく。


12:30ごろ・ソフトクリームを買う。
公衆電話近くのソファーに座って食べていると、ヒラヒラピンクの服をきた女性が異様なオーラを放ちながらやってくる。普通のヒラピンガールならちょっと驚くだけですむが、やけに長身体躯で筋骨隆々としている気がする。
もしかしてオカマかなぁ、なんていっていると母がやけに興奮してデジカメで彼女(彼?)の写真を撮り始める。残念なことに興奮のあまり手ブレしてしまって後で消してしまったのだが。
もうすることがないので搭乗口付近のソファーで寝る。


14:00・起きて、トルコ航空イスタンブール行きに搭乗。
いつも乗っているJALやANA、アリタリア(イタリアの航空会社)やルフトハンザ(同ドイツ)にくらべて機体が若干ボロい気がするが、日本はトルコ航空に借りがあるし、まあいいか。


14:35・離陸。憧れのイスタンブールへ。
飛び立ったと思ったら非常口がヤケにキシキシ音を立てる。大丈夫なのか、と思いつつまた寝る。


15:45・起こされて機内食一回目。
サラダ、河童巻きとサーモン、ごはんの牛肉・ソース添え、デザートにスポンジケーキ。
機内食はいつもそうなのだが、なんだか大量生産を目的とした工業製品を食べさせられている感じがする。エコノミー(節約)クラスだから仕方のないことかもしれないが、お米なんかは特にひどく、なんだか細切れにした台所のスポンジのような食感。雑巾みたいなにおいするし。
悪夢に出てきそうな食事のあと、また睡眠。

さっきから寝てばかりいるが、これは朝の睡眠時間が3時間しかなかったこと、退屈な12時間のフライトへの対策、および来たるべきトルコの旅へむけての体力補充などの理由によるもので、さすがの僕も毎日こんなに寝ているわけではない。


19:07・おはよう。今はどこかな?
よく寝た、と思って目覚めてみたら、いまだバイカル湖上空。そろそろ空路の8割がたは消費しただろうと思っていたので急激に萎える。

「ううう」とうめきながらもう一度長い眠りにつこうとするも、そろそろ寝すぎでねむたくない。


20:00ごろ・最終兵器 読書。
そろそろ睡眠によって暇をつぶそうとする試みが無駄だということが明らかになってきたので最後の手段に出る。父の推薦図書『ロシアは今日も荒れ模様』。

ロシアの凄惨なトイレ事情、エリツィンと酒の関係、ブレジネフとホネカーのキスにまつわるエピソードなどを収録した面白エッセイだが、感想を書くと長くなるので書名のみにとどめることにする。
興味のある人は『独裁者たちへ!』とセットでお薦め。


シベリア上空 21:00ごろ・シベリア上空。
モノトーンな極寒の平原に、氷がぐるぐるとミステリーサークルのような模様をえがいている。読書は続く。


23:00ごろ・『ロシアは今日も…』を読み終える。
いつの間にかカスピ海の東岸あたりを飛んでいる。
読売新聞を読む。どうせ見られないのにテレビ欄が気になる。


24:30・機内雑誌を読む。
イスタンブールに到着するまで、24時をこえてどんどん進むけど他に方法がないので勘弁してください。

読売新聞の次はトルコ航空の機内雑誌に移る。トルコ語と英語のみの表記なので読みにくいが、興味深い記事がいくつかある。
たとえば『Turkish Aviators』。17世紀にグライダーでボスフォラス海峡を横断した人がいたり、オスマン帝国にも空軍があったりと、何の役にも立たないけれど読んでいておもしろい。トルコの事柄をEnglishで読む、というのも(自己満足だが)なかなかいい。


25:00ごろ・黒海北東部。
ここから黒海をナナメ横断すればイスタンブール。いよいよトルコの地が近づいて来る。緊張の初対面までもう少しだ。


25:20ごろ・機内食二回目。
きのこのパスタとブロッコリー、ツナサラダ、グレープフルーツ、トマトジュース。
味は、一回目にくらべると格段によくなった。けれどもやはりマス・プロダクツな料理ではある。

料理の味とは直接関係ないが、機内食の白ワインはフランス産とトルコ産(後述するが、トルコもワインの名産地である)の2種類があった。母は最初「フランス製!」と即断したのだが(普通の日本人ならそうするだろう)、おいおいお母ちゃん、これからトルコへ行くんだからトルコ製にしといたほうがいいんじゃあないの、と僕が言ったこともあってトルコ製に変更。
トルコ人のスッチーさんから「Best choice!」のお言葉を賜った。
お腹がいっぱいになったところでもう一寝入り。


27:00(現地時刻20;00)ごろ・イスタンブール、アタテュルク空港着。
着陸の衝撃にもめげず元気に睡眠中。
どんな状況でも寝られること、空腹でなくても食事がとれること、この二点が旅人の必修事項だと僕は思う。
ここから時刻を現地の時間で表記するため、7時間ずれます。


20:30・タラップで飛行機から降りる。
飛行機を降りるとき、車ではないから「下車」とはいえない。「下機」とするべきかもしれないが、しっくりこなくていやだ。「搭乗」の反対だから「搭降」かもしれない。

着陸後もかなり眠っていたのでドベで下機。(やっぱりダメだ)
外は小雨。飛行機や建物などのライトが妖しく光って幻想的に見えるのは、イスタンブールに着いた!という感慨からか。

バスでターミナルへ移動後、同じツアーの女性2人と会う。母親と娘さんで、おそらくは僕と同じ卒業記念(ただしむこうは大学を卒業)で来たのだろう。一応ここではK親子としておく。

K親子と計4人で国内線ターミナルへ。すこし時間があるので500ユーロをトルコの通貨イェニ・トルコ・リラ(以下YTL)に両替え。


22:00・飛行場のバスでアンカラ行きの飛行機へ。
バスから出て気づいた。さっきまでの小雨がかなりの量の雪にかわっている。
イスタンブールでは3月でも雪が降るのか。


22:35・離陸。アンカラへ。
アンカラというと日本では知名度の低い都市だが、石器時代に起源を持つ古都であり、かつ400万もの人口を要するトルコ第二の大都市で、トルコ共和国の首都でもある。(たまに最大の都市イスタンブールを首都だと思っている人がいるので念のため)

K親子の前の席に座る。トルコ人、ドイツ人、フランス人、そして日本人等々。国際色豊かな機内だ。


23:30・アンカラ着。
スーツケースを持って外へ出て、ガイドさんと対面。結局僕たちのツアーは日本人4人プラス、ガイドさん、車の運転手さんの計6人と、かなり小規模。少ないほうが小回りもきくし楽しいだろう。

フォルクスワーゲンに乗り、やっと今晩の宿へと出発。ここでガイドさんの自己紹介。
名前は「ジハン」。日本語がとても上手。旅行会社からは、ガイドといっても英語で話さなければダメなのではないか、と言われていたのでかなり安心する。
また、ジハンさんはトルコ人というよりヨーロッパ系の顔をしている。(先祖がオスマン帝国の兵隊だったからだそうだ)

ホテルまでの運転手さんは「ファティフ」=「制服」という名前。最初「征服」かなとも思ったが、英語で言うと「uniform」だからやはり前者だ。日本人には理解不能な親の意図があるのだろう。どちらにしろ「光中」=「ぴかちゅう」よりはマシ。ついでに「ジハン」というのはアラビア語で「世界」。こっちはかっこいい。

とにかく、ツアーに関するいろいろな説明を受けながらホテルへ。
アンカラの市街は都市計画にそって作られただけになかなか近代的だが、日本の町並みとも欧州のそれとも違った雰囲気で、(行ったことはないが)中南米の現代都市、という感じがする。


ホテルの部屋 24:00ごろ・ホテル イチカレ着。
次の日のモーニングコールなどの説明を受けたあと各自部屋へ。入浴後、寝る。





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